マイク・ミルズ監督の『カモンカモン』を観た。放っておくといつまでもノンストップで喋り続けるムスメを思い出した。ちゃんと彼女と目を見て話せているだろうか。もう寝なさいと話を制すこともある。この映画は、子供とちゃんと話すことや、彼女が話を聞いてほしいと願うことが、限りある時間だということを思い出させる。
家に帰ると、息子が志望校について奥さんと話していた。普段の息子は必要最小限の会話しかしない。いろんな高校の話をしていたら、小学生の時に一緒に観に行った高校野球の試合を思い出したようで、また行きたいなという。来週の福岡地区大会の決勝に誘ってみたら、わかんないけどまた前日に言ってと言われた。ちょっと前向きみたい。
奥さんは新しい猫を飼いたいらしい。友達の友達が飼ってる猫が、1時間ほど脱走した間に妊娠し、もうすぐ赤ちゃんが生まれるそうだ。夢路をなくし、アオ君だけになったとき、あのときアオがいてよかったと。それは、二匹飼いたいに充分な理由だから、良いんじゃない?と言ったら、「酔ってるから言ってる?」と聞かれた。酔ってるが、酔ってるからではない。息子は猫のウンチでもっと臭くなるのがイヤと言っていたが、まんざらではなさそうだった。息子が反抗期の絶頂だったとき、どんなに親に反抗的でも猫には優しかったから、大丈夫だと思っていたよと言ったら、ちょっと笑っていた。
(以下少しネタバレあり)
『カモンカモン』を観たら、自分はこれだけ誰かと向き合って対話をしているだろうかと考えてしまう。そして、その後誰かにあったら、いつもよりちゃんと話をしようと思うだろう。今日の自分のように。
映画の最終盤のあるシーンで自分は涙を流した。「忘れるよ」「覚えているよ」という二人のやりとり。覚えているということは、忘れないということは、愛なのだ。だから、忘れないように、今日のことを書きました。