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小さな傷
うちの会社には、平川動物園でホワイトタイガーに襲われた方と同じ苗字の社員がいる。昨日、彼の帰り際にある別の社員が「●●さん、虎に気をつけて」と笑いながら話しているのを聞いて、小さく傷ついた。人の死を、身近な人同士の笑いのタネにしているからだろうか。言った本人に悪意はなかっただろうし、単純に鹿児島の馴染みある動物園のことだから、自分が感情移入しすぎているせいかもしれない。それを温度差というのだろうが、何だろうこの気分の悪さは。小さくというが、案外深く傷ついているのだろう。こうやってブログに書きたくなるくらいに。

学生時代、同級生のあかねさんがバイク事故で亡くなったときのことを思い出した。あかねさんは、俺がバイトしているレンタルビデオ屋でビデオを借りた帰りにバイク事故で亡くなった。数日後、バイトに行ったらそこのおっさん店長が、警察から返却されたそのビデオを持って「化けて出るぞ~」と冗談めかしているのを聞いて、戦慄が走ったのを思い出した。まだ若かった自分は、そこで店長に怒りを表すことも諌めることもできなかった。「死んだの、俺の友達なんですよ」となぜその場で言えなかったのか、あとで何回も悔やんだ。人の死を笑いに転化されるのは気持ち良いものではない。それは下品なことだ。自分はそんなことをしていないだろうか。自戒を込めて。

by rin_magazine | 2018-10-10 05:11 | 日々のできごと | Comments(0)


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