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1年前
 今日で花が1歳を迎える。大きなけがや病気もなく、健やかに、そしてにこやかに、スクスクと育ってくれた。彼女は本当によく笑う。こんなに愛想のよいDNAは両親は持ち合わせていないはずだが、彼女の無垢な笑顔に癒される日々。どうかこれからも、元気に育ってほしい。

 1年前のことを振り返ろうと思う。11月に入ってから、いつ産まれてもいいようにとお義母さんも福岡に滞在してくれる。今か今かと待ちわびつつ、いよいよ産まれそう!となったのは、予定日通りの11月29日であった。午前中、いよいよかもと病院に行く連絡があったが、一旦帰されたという。と、その連絡をもらってからそう時間も空かず、13時頃だったろうか、仕事中に静香から電話があり、もう一度病院へ向かうとのこと。小川さんに伝えて退社許可をもらい、そのままタクシーで淡水幼稚園へ。前日に佳維の誕生会で幼稚園に行っていたので、2日続けてとなる。櫻井先生が出迎えてくれて、「お父さんに言っても仕方ないですが…頑張ってください!」と言われ、佳維はクラスのお友達から口々に「佳維くんバイバイ~、頑張ってね~」と大声で見送られる。みんな赤ちゃんが生まれることを知っていて、応援してくれているのだ。

 タクシーで一旦家に帰り、荷物をまとめてそのまま佳維と嘉村産婦人科へ。すでにお義母さんが病院でつきっきりになってくれている。静香はベッドで横になり、ちょこちょこ確認で看護師さんが出入りをしている。自分は長丁場に備えて、どこで買ったか覚えていないけど、眠眠打破などを購入し冷蔵庫に入れておいた。まだ日は明るく、最初は佳維も部屋にいたのだが、途中で「佳維退屈」と言ったので、お義母さんが気を遣って一時帰宅してくれた。佳維は家でテレビを見ていたようだ。夕方くらいから、部屋の中で静香と二人っきりになる。

 静香は右向きに体を寝かせて、目をつぶり、意識を集中させているようだった。自分は傍らに座り、とにかく腰をさすっていた。そして、定期的にやってくる陣痛のたびにお尻を押すということをやり続けた。自分はこれでいいのかわからなかったので、ことあるごとに「大丈夫?」とか声をかけた。あとから聞いたところによると、その声をかけるタイミングがいつも一番きついときだったようで、申し訳ない。しかしながらお尻を押さえたり腰をさする行為は良かったらしい。しばらくその時間が続き、途中で静香が「もう大丈夫」という感じで腰をさすらないようになった。静香はずっと身体を右向きにし、呼吸を整えているような、もしくは眠っているような。自分は傍らに座り、携帯を見たり、部屋の外を眺めたりしたどれくらいの時間だったか覚えていないが、日が沈み薄闇が差してくる頃で、とても静謐で厳かな時間のように感じた。子どもが生まれる日の空を撮っておくといいよ、というアンナさんの言葉を思い出し、窓から青から黒に移ろうとしている夕方の風景をiPhoneで撮影した。嘉村産婦人科の外には大きな池があり、池に周囲の建物が映って何とも静かで幻想的な風景であった。

 20時頃だっただろうか。ずっと黙って自分との戦いを続けている静香が、意を決したようにナースコールで看護師さんを呼んだ。いよいよ産むぞ!という合図だったのだが、細かい話をする余裕はなかったので、この時点でも自分は状況がつかめてなかった。彼女が分娩室に移り、そこでいよいよか~!!と知ったのだった。しかし、自分は分娩室に入ってどれくらいで赤ちゃんが産まれるのかを知らなかった。2階から1階の分娩室に移動し、ご主人はこちらで、とすぐ横の控え室に通される。お義母さんに電話し、今分娩室に入りましたと報告。じゃあ佳維と向かうね、とのこと。自分は分娩室で待っている間、先生が呼びに来るのを待っていた。自分は分娩室に入ってから通常どれくらいで赤ちゃんが生まれるのかを知らず、またここから数時間の戦いか?くらいに暢気に構えていたのだが、一応調べてみようと思いネット検索すると、なんと分娩室に入ってから生まれるまでは10分~30分とあるではないか!! どうしよう。言い知れぬ不安が襲ってきた。出産に立ち会いたいということはずっと言ってきたし、静香も先生に伝えているはず。しかし先生方は一向に呼びに来る気配もないし、周りには誰もいない。もしかしてこのまま産まれちゃったらどうしよう! ここで産声が聞こえてきたら一生の後悔!と思ったら、看護師さんが前を通ったので、「すみません、中には入れないのでしょうか?」と聞いたら「あ、立会希望ですか? 少々お待ちくださいね」と言われる。あぶね~!! やっぱり希望が通ってなかったのだ!! 落ち着かないまま控室で座ったり立ったりしていると、やっと看護師さんが呼びに来てくれた。どうぞこちらへ、と分娩室の中に通された。

 分娩室では静香が先生や看護師さんに応援されながら、せーの!という感じで定期的にいきんでいた。自分は静香の頭の後ろに立たされ、肩を押さえてがんばれとか大丈夫大丈夫とか言ったと思う。祈るような気持だった。そして、自分が分娩室に入って3回目くらいのいきみのタイミングだったと思う。静香の股の間から、ひょこっと小さな顔が見えた! かわいい! 多分横たわっている静香よりも先に自分の方が赤ちゃんの顔が見えたと思う! 何ともあっさり産まれた~(自分が分娩室に入ってから)。最初に顔が見えたのと、かわいいのとでびっくり。静香頑張ったね~ありがとう~とか言いながら、あっさり退場を命じられ(笑)しばしのお別れだ。その間、控室のモニターで、保育器に入れられて体をふかれたりへその緒をカットされる様子を眺めていた。花はギャンギャン泣いてる。何か、鳴き声を録音されている様子も見えた。そうこうしていると、お義母さんと佳維が病院にやってきた。産まれました~と言って、佳維と一緒にモニターを見る。佳維もワ~と言って一生懸命モニターを眺めている。

 しばらくして分娩室へ入って良いよと言われ、みんなで入る。花は静香の胸に抱かれて、すやすや寝ているようだった。自分はカメラを片手にパシャパシャと産まれたばかりの花と産んだばかりの静香を撮った。佳維も撮った。お義母さんに家族で撮ってもらった。頑張った静香と、頑張って生まれてきた花に、ありがとうという気持ちだった。そして、初めての女の子と、初めての出産立会いに、どこか心も体もふわふわして、不思議な感覚だったのを覚えている。

 家に帰り、佳維と一緒に寝た。布団の中で花ちゃんどうだった?と聞いたら、かわいかったと言っていた。


 あれから今日で1年である。早いような、短いような。いろんなことがあったが、花は変わらずノンストップでスクスクと元気に育っている! 誕生日おめでとう、花ちゃん。
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by rin_magazine | 2013-11-29 06:28 | Comments(0)


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