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監督と甲子園
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 「輝け!甲子園の星」という雑誌の連載コーナー「監督と甲子園」を単行本化した本です。出版されたのは平成15年なので結構前。誰もが知ってる甲子園常連校から、近年力を付けてきた新興勢力まで、22校の野球部の監督さんの記事が掲載されています。ちなみにこの単行本シリーズはすでに4弾まで出ています。

 当然といえば当然だけど、監督によって考え方や指導法、何に重きを置くかは千差万別。甲子園での試合中はニコニコしたイメージの監督さんが実はものすごく厳しかったり、逆に見るからに恐そうな監督が選手からはすごく慕われていたり、今まで知らなかった名将たちの人となりが分かる良い本だと思います。それから、どの監督さんも野球だけではなく人間教育に力を入れているので、子どもと向き合う姿勢など、参考になる部分も多分にあります。例えばこんなエピソード。ちょっと長いけど引用します。


 かつて、部員15人でたったひとりをメンバーから外さねばならないことがあった。そのひとりになった生徒は、グラウンドでは気丈を装ったものの陰で人知れず泣き、自宅に戻ってから床に茶わんを投げつけた。「どうしてこんな小さな体に生んだのだ」と、怒りの矛先を両親に向けたのだった。

「それをあとから聞きまして、本人を叱りました。そして言うたりました。小さいから使わないと誰が言った。力は体格ではない。パワー、努力でつくものだ。知力と努力だと言うたやろと。(中略)翌日から、そいつは朝、家を出て毎日12kmの道程を5kgの砂袋を腰に巻いて走り始めた。よう頑張っておりました。だからのちの甲子園でメンバーに入れ、一番後ろを小さいのが行進する姿を見て両親が泣いとりましたわ」



 このエピソードは、奈良県郡山高校の森本達幸監督のものです。その森本監督が、まさに今日、監督生活最後の日を迎えました。さすがに奈良の高校野球事情までは分からないけど、ひとつのチームを47年間育て上げてきたという事実だけで尊敬に値します。残念ながら決勝で天理高校に敗れ、甲子園出場は叶わなかったけど、長い間お疲れ様でしたという言葉をひっそりと送りたいと思います。いずれ高校野球の取材ができればと思っているのだけど、どういう風なルートを辿ればいいのだろう。
by rin_magazine | 2009-07-25 23:11 | 読んだ本の感想 | Comments(0)


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