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くるりのこと
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くるり+宇野維正さん「くるりのこと」文庫版読了。単行本発行時も知ってたけどなぜか食指が動かず、今回岸田君のインスタで文庫版発売を知って購入した次第。結果、単行本の内容+50ページ以上の完全版になっていたのでこっちで正解だった。呼ばれるタイミングだった、ということにしよう。

内容はくるりの岸田君と佐藤さんのインタビューを軸に、宇野さんが間の言葉をつなぐ形で構成されている。宇野さんのつなぎの部分、くどいなぁと思う箇所もチョコチョコあったけど、結果これが一番話の内容を分かりやすくする手法だったのだろう。とにかくこの本は、分かりやすい。特にデビュー前の京都アングラシーンで、このバンド独特のメンタリティが培われていく様子は今回初めて知ったので、出だしから無茶苦茶面白かった。スーパーカー、ナンバーガールら“98年の世代”の話題も出ていたけど、ナンバーガールも割とこういう福岡の濃厚なアングラシーンから出ていったバンドだったので、そこにシンパシーを覚えるというのは体感的にも分かる気がする。デビュー以降の話も、発売されたアルバムの話を軸にその時々のバンドの状況や、それぞれの作品に至る音楽的背景が詳しく語られていて興味深い。そのアルバムを聴いていた頃の自分の状況を思い出したりもして、人生の大部分で併走してもらってるバンドなのだと改めて実感。特に大学卒業時期と重なる「THE WORLD IS MINE」や、東日本大震災後の「坩堝の電圧」なんかは、聴いていた時の感情が思い出とともに宿っている感覚が強い。くるりはメンバーの脱退・加入が多く、やれ岸田君のワンマンバンドと言われがちだったけれど、それぞれの脱退の理由も丁寧に語られていて(クリストファーの場合は「とても本に書けるような内容ではなかった」というのが切なくもあった)、彼らの葛藤や音楽への真摯さみたいなものもスーッと伝わる、とてもいい本だと思う。

というわけであっという間に読み終え、とても満足度の高い読書体験となった。そして改めて思ったのだが、この本をここまで楽しめた理由は、ひとえに自分がくるりを好きになったからだと気付いた(もちろん、それ以上にくるりがバンドを続けてくれているというのが一番だけど)。98年のデビュー時に知り、アルバムはほとんど購入してきたし、最近は足が遠のいているけどライブもかなりの数を観てきた。INAさんが書いたhide本を読んだ時も思ったけど、そういう風に人生の一時期でもいいから深く傾倒するものを持つと、後々に思いがけずこうして“濃く”“深く”楽しめるものができるんだなと。そういうもの、未来を獲得できるほど自分が夢中になれるものって今の自分にあるかなぁとか、いろいろ考えてしまった。もしかしたら子どもとかがそういう対象なのかもしれないけど、その渦中にいるとその豊かさに自覚がなかったりするし。

いずれにしても、くるりを一瞬でも好きになったことがある人にはぜひ読んでほしい一冊です。彼らが精神的に健康でいてくれることは個人的にもとても嬉しく、文庫の増補部分でその状態であることが分かって良かったです。あと同じく追加されていた「インタビューのこと」という岸田君と宇野さんの対談部分は、仕事でインタビューをする現役のライターさんにはすごく刺さる内容だと思います。自分も未だにそういう機会があるので、いい読み物を読めた気がしました。そして、久しぶりにくるりのライブへ行ってみたい気持ちになっています。と思ったら今月福岡に来るやーん。行こう。


# by rin_magazine | 2019-05-04 07:11 | 読んだ本の感想 | Comments(0)
都築響一「圏外編集者」
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また魂の本に出会ってしまった。都築響一さん「圏外編集者」。いわゆる編集のHow to本ではなく、都築さんが自身の編集者人生を振り返る中で、他の誰にも到底真似のできない独自の働き方(というか生き様)が浮かび上がってくるような内容。口述筆記のような文章も軽快で読みやすく、あっという間に読み終えた。


特に都築さんを一躍有名にした、東京の若者の生活空間を切り取った写真集「TOKYO STYLE」の制作エピソードや、地方のラッパーのインタビュー集「ヒップホップの詩人たち」に取り組んだ切実な思いは、本当にワクワクし心震えるものだった(ちなみに「TOKYO STYLE」は大学の図書館にあって、友人のM君から薦められて読んだ思い出深い本だ)。


尽きることのない好奇心と情熱、安易な道筋を選ぶことへの反骨心、そして光の当たらないところから人間の輝きを見つけ出すセンス。そうして生み出される本は本当に唯一無二で、自分はもっと都築響一の本を読まないとダメだと、この人の仕事にちゃんと触れないとダメだと確信した。


読む人によっては、前時代的な思考を残したおじさんの説教のように捉える人もいるかもしれない。でもやはり、自分で汗をかいて、足や脳みそをひたすら使って獲得した仕事の説得力に勝るものはないなと。しかも60を超えているのに、今でも現役で膨大な仕事量をこなしている。ここから学ぶことは多い。


余談だけどこの本は台湾で翻訳版が出て、台湾の書店員大賞のようなもので大賞を獲ったらしい。日本では大して売れなかったらしいが、この内容の本を評価できる今の台湾の感性にも興味が尽きない。台湾の今の文化を体験しに行きたいと切に思う。



# by rin_magazine | 2019-03-28 23:43 | 読んだ本の感想 | Comments(0)
イチロー引退によせて
イチローが引退した。

初めて「イチロー」を認識したのは、1994年のリーグ開幕前。登録名を「イチロー」にするという小さな記事をスポーツ欄で見かけたときだった。同時に登録名を変えたのがパンチ佐藤で、当時はパンチさんの方が圧倒的に知名度が高く、「イチロー? 誰それ?」という感じだった。世の中の大半の人がそんな感じだったと思う。しかしイチローはその年に日本プロ野球史上初の200安打を打ち、一躍スターダムへ。以降の活躍はここで振り返るまでもないが、とにかく自分が中学生の頃からつい最近に至るまで、常に野球界の第一線で活躍してきたわけだから、彼の生きざまやその歩みに、多くの人が自分自身の人生を重ねてしまうのは仕方のないことだろう。

ごくごく個人的なことだが、イチローといえば思い出すのが、数年前に上司からもらったメールの文面である。

「イチローくらいたくさんヒットを打とうとすると、バットの芯以外のところに当ててでもフェアゾーンにボールを運ばないといけない。なぜなら、芯に当てようと思うとバットのヒットゾーンが小さく、確率が落ちるから。そこを求めると必然的にヒットは量産はできない。かつ、芯から外したところに当たるとボールは気持ちよく前に飛んで行かないが、その感覚すら飲み込まないとヒットはたくさん打てない。また、気持ち悪いので、自身のバッティングの型を崩す可能性もある。すべてが自分にとって気持ちよく、うまくいくことなんて少ないので、気持ち悪くても崩れない強さが必要。」

もらった当初はこの意味がよく分からなかったが、いつからか言わんとしていたことがとてもよく分かるようになり、今でも大切な教えとして大事に残している。どんなに会心の当たりであっても、正面を突いてアウトになればその価値は三振と変わらない。すなわち得点も入らない。にもかかわらず、“会心の当たりを打てたこと”に満足し、また会心の当たり=自分にとっての気持ちよさを求め続けてしまう。おそらくは当時の自分が、仕事においてもそういう姿勢でいたことを上司に見透かされていたのだと思う。必要なのは、ヒットであり得点だ。

自分たちは、本当にたくさんのイチローのヒットを見てきた。テレビで繰り返されるのは、何千本という節目のヒットや華やかなホームランが多い。でも一方で、体勢を崩しながらバットの先に当てたポテンヒットや、ぼてぼてのゴロを転がして内野安打にしていくイチローの姿を、同じくらい多くこの目に焼き付けてきた。どちらであっても、積み重なるのは「1」という小さな数字である。

世代性別を問わず多くの人に愛されてきたイチローだが、ことさらにサラリーマン(自分も含め)が彼について語るときの熱量が高いのは、きっとその小さな「1」という結果を生み出す苦労を知っているからではないだろうか。どんな世界でも結果を求められる。それも、より良い結果を。だから苦しみ、もがく。イチローのヒットは 、例えそれが小さな「1」という結果であっても、尊く意味があるのだと肯定してくれる。そうやって多くの人を励まし、背中を押し続けてくれた男がユニフォームを脱いだ。とてもとても寂しいけれど、感謝の気持ちを心から。同時代にその活躍を目の当たりにできたこと、幸せだったな。28年間、本当にお疲れ様でした。

「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています」byイチロー

# by rin_magazine | 2019-03-23 07:32 | 日々のできごと | Comments(0)
卒園
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花の卒園式だった。

約2年間通った近所の新しい保育園。楽しい日もあれば、嫌なことをされて行きたくない日もあった。それでもこうして、別れの歌を涙ながらに歌うほどの思い出ができたようだ。

親の贔屓目もあるかもしれないが、彼女はとても優しい人だ。優しいがゆえに、しなくてよいはずの苦労まで背負ってしまうことがある。嫌なことをされても、その相手を責めたり悪く言うことをしない。こちらが悪く言おうものならそれを制してしまう正義感がある。損な役回りだと思うが、それが彼女の個性である。

今日は式の後、我が家にたくさんの友達が来てくれたらしい。嬉しかったと思う。そして夜は2人で絵を描いた。夢の国というタイトルの、不思議な世界の絵。壁に飾り、これを守り神にしようと話した。

# by rin_magazine | 2019-03-21 00:00 | 子どもたちの成長記録 | Comments(0)
セダークレスト
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日曜に新スニーカー購入。セダークレストの紐なしジップ式のカーキ色。セダークレストって、日本ではチヨダがやってるから格安非オシャレ系っぽい扱いだけど、調べたらアメリカ発で100年くらい歴史あるブランドのようです。


個人的にPF flyersという、ニューバランス傘下のブランドのスニーカーが履き心地良くて大好きだったのですが、好きになった途端にニューバランス日本法人が取り扱いを終了しました(2014年のこと。今はAmazonでは買えるけど軒並み高い)。ちょっとマイナーで、イオンとか西鉄大橋駅の中の冴えないシューズショップで買えて、安い割には品質が異常に良いブランドだったのですが、何となくそれに近しい位置付けのブランドに思えて気に入りました。


今さらオールスターとかジャックパーセルとかは選びたくない天邪鬼な自分のニーズにベストマッチ。特にこの紐なしジップ式、楽チンで縛られない感じが、私服サラリーマン的にもポイント高いです。いい買い物したなぁ、2,500円! 黒も買おうかなぁ。


# by rin_magazine | 2019-01-24 19:25 | 日々のできごと | Comments(0)
天皇誕生日
​​天皇誕生日。かねてから今の天皇陛下、皇后陛下の行動には畏敬の念を感じていたが、平成の世も終わりが近づき、今回は今までにないくらい殊勝な気持ちでこの日を迎えた。本屋に行けば天皇の本を探すし、テレビを付ければ天皇の番組を探す、もはやファンである。

今日の記者会見の全文と映像を見て思わずもらい泣きしてしまった。戦争のない時代にできたことへの安堵、国民への感謝、美智子皇后への労い、一点の曇りもない美しく凛々しい言葉たち。改めて、素晴らしい天皇陛下と同じ時代を生きて来られたのだなと、感謝の気持ちでいっぱいだ。どうかこれからも長生きして、ゆっくりと余生を過ごしていただきたい。​​

夜は年内に閉店するバイエルンに行った。美味しいドイツ料理を堪能した。

# by rin_magazine | 2018-12-23 23:15 | 日々のできごと | Comments(0)
意志決定
ある意志決定において、自分の間違いを指摘された。ちゃんと相談もしていたし、自分としては適切なプロセスを踏んでいたつもりだったので、Kさんからのその指摘に対し、一瞬面倒くささを感じてしまった。でもわざわざそう言ってくるということは、きっととても大切なことのはずだと思い直し、真摯に向き合った。そしてそれは正解だった。Kさんはその意図について、本当に真摯に回答してくれた。そんな人はあまりいない。Kさんはいつもフラットに、視座が一つだけでないことを教えてくれる。「上司は使うものだから」という教えは、今の自分にとって本当に大切な学びとなった。
# by rin_magazine | 2018-12-22 23:30 | 日々のできごと | Comments(0)
ブログ
ブログのアクセスが増えているなと思ったら、三迫さんのブログで紹介されていた。「淡々としたブログが好きだ」というタイトルで。

このブログも始めてから随分経つが、今年は数えるほどしか更新していない。1年前の今頃は、もう一度毎日更新をやってみようと些細なことも記録していた。振り返って読むと、たいしたことのない出来事でも、自分の思考を振り返ることができるというのは悪くない。

このブログを始めたとき、静香に「一度忘れてしまうと、なかったことになるからね」と言われたことがなぜか妙にずっと残っている。昨年のある日の日記に、息子と手をつないだという記載があり、おそらく彼が手をつないでくれたのはこの日が最後なんじゃないかなと思った。5年生になって急速に子どもらしさがなくなり、早くも中2病の気配を漂わせ始めている。もう、手を握り返してくれることは、よほどのことがない限りないだろう。それでも、そんな日を記録できたということは、なかなかに豊かなことなのではないか。

いつまで続くかは分からないし、今時はnoteとかの方が良いのだろう。日々の記録を残すことは何かしら継続していきたいとも思う。

# by rin_magazine | 2018-12-21 03:46 | 日々のできごと | Comments(0)
君のいない世界
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I.N.A.さんの「君のいない世界」読了。先日仕事で行った世田谷ものづくり学校にI.N.A.さんのスタジオがあり、そこの壁にこの本のポスターが貼ってあったのを見て購入。あっという間に読み終わったけど、本当にこの本に出会えて良かった。偶然の導きに感謝。


I.N.A.さんはhideの共同プロデューサーでもあり、一番近くでhideの楽曲制作に携わってきた人。この本の大半は「HIDE YOUR FACE」と「PSYENCE」という2枚のアルバム制作における詳細な過程に費やされているのだけど、このアルバムたちをちゃんと聴いていた人なら絶対に心底楽しめる本だと思う。難しい音楽用語もちゃんとI.N.A.さんが分かりやすく書いているし、あの曲のあの部分にはそんな仕掛けがあったのかとか、この歌詞にはそんな出来事が影響を及ぼしていたのかとか、知らなかったエピソードがたくさん散りばめられている。この本を読んだ後にまたアルバムを聴くとさらに深く豊かに響くし、もはやこの本の内容も作品の一部と思えるくらい。


I.N.A.さんの証言から、2人がやっていた音楽制作の行程がいかに当時の日本の、いや世界の音楽シーンで時代を先取りしていたかも理詰めで理解できるし、肌身で感じたあのアルバムたちの面白さの理由がロジカルに補完されていくのも本当に面白い体験だった。


その一方でこの本は、I.N.A.さんという一人の音楽家自身の成長譚でもあり、hideという親友と過ごした日々の青春物語でもあったりする。そして、ロックスターとしてのhideしかほとんど知らない我々のようなファンにとって、人間・松本秀人(と、怪獣ヒデラ・笑)のことを、実際にそばにいる友達のように感じることのできる稀有な本にもなっている。本当に本当に、hideに少しでも影響を受けた人には全員読んでほしいと思うくらいにオススメです。


I.N.A.さんに、素晴らしい本を書いてくれてありがとうございますと感謝の気持ちを伝えたいです。


# by rin_magazine | 2018-12-15 18:53 | 読んだ本の感想 | Comments(0)
植本一子「フェルメール」


植本一子さん「フェルメール」読了。世界各地に散らばっている現存のフェルメール作品35点を、実際にその目で観に行き、写真と文章で綴るというユニークな本。ここ数年、極めてパーソナルな作品を残してきた彼女の次なる展開としては意外なもので、少しの違和感や戸惑いを感じながら読み進める。でも恐らくそれは彼女自身の戸惑いであり、この旅に彼女が少しずつ心と身体を慣らしていく過程や変化もダイレクトに伝わり、それを生々しく追体験させてもらえるような不思議な感覚があった。特に写真家ならではの視点、対象への対峙の仕方は興味深く、作品とギャラリーに来ているお客さんとの切り取りが面白い。アートへの関わりにルールなどないことに改めて気付かせてくれるところもある。


とはいえ、全体的にはやはりよそ行き感もあり、本人もあとがきで書いていたけど、このキャスティングが「なぜ私なのか?」ということの答えは見つからなかった。あとがきとありながらその文章が旅に出る前に書いた文章であることが象徴的で、あるいはその答えはこの写真と文章から感じ取るべきものなのかもしれない。写真と文章のページが離れていて、双方を行き来するという読書体験の繰り返しの中で浮かび上がるものもあるだろうし、今上野でやっているフェルメール展を見て初めて感じることもあるだろう。


余談だけどこの旅は一子さんがご主人のECDさんを亡くされて間もない頃のものであり、追憶や感傷などの物語をいくらでも帯びさせることはできたと思うけど、ほとんどそこを頼りにせずに淡々と感情を綴るところに、植本一子の凄みを改めて感じたりもする。この考察自体が野暮だとは思うけれど…。


# by rin_magazine | 2018-11-12 12:33 | 読んだ本の感想 | Comments(0)